蘇州に根付く企業 蘇州天竺貿易公司
     天竺貿易有限公司〜佐久間亨代表に聞く
                                             











蘇州天竺酒楼レストランホール内




蘇州 昆山天竺酒楼










昆山天竺酒楼


















































































































蘇州は、豊かな食材を活かした「蘇州料理」を生んだそもそも味にうるさい土地。最近では「安い、うまい」に加え内装にも凝った店が増え、さらに外資系企業進出で湧く開発区の高新区、工業園区でも飲食関連の店舗が急増。激戦となった蘇州飲食業界最前線はいかに?長年蘇州を中心に奮闘される天竺貿易有限公司の取り組みを伺う。

蘇州飲食業界の変容
―蘇州に進出されるきっかけから?

(佐久間代表)私はそもそも内装設計を手がけておりまして、家内が京都の御池で中華レストランを経営していました。現在の弊社中国代表は蘇州人で当時留学生として日本に滞在していた頃、この京都の店の常連客でもあり、私が中国に出たいと家内に話した時に、私は直接彼を知らなかったんですが、蘇州はどうか、そこなら知っている人はいるよと。オープンは96年の728日。最初に中国を訪れたのはそれより約半年前です。

―蘇州で中華レストランの経営を選択されたわけは?
(佐久間代表)中国に初めて調査に来た際は、専門だった建築ほか、内装、デザイン、不動産関係、および飲食関係を考えました。しかし飲食関係以外はシステムが非常に未成熟で、飲食店だけシステムがよく似ていました。またその他の業種であれば、大きな資本が必要になり、そこで飲食店という選択になったんです。飲食店であれば、私どもの日本の店が中華レストラン・バーでしたので、システムもそのまま活用できますから。当時蘇州の日本料理は、300人の在住日本人に対して10軒の日本料理店という供給過剰の状況でした。しかし中華料理であれば、市場性が全く異なると思ったわけです。

―蘇州は大小ともに飲食店が非常に多いですが、いま集客の方は?
(佐久間代表)客の入りという点から言えば蘇州店は、ほぼ丸6年逆風に耐えています。売上が年々下がり、営業面積も5,100uから3,000uと縮小に縮小を重ねています。2000年から蘇州のサービス業も上海、広東と同様、明らかな供給過剰の状態が急速に進んでいるからです。例えばホテル業界であれば今年から非常に厳しい。去年まで90%以上の稼働率でしたが、今年蘇州全体で言えば2割部屋数が増えたので稼働率は70%に満たない。つまりこちらの市場環境は20%程度は毎年容易に変わり、さらには一昨年のSARSのように、何が起こるかわからないという不確定要素も高く、集客も予測しきれない点が多々あります。

―価格、サービスという点でのご苦労は?
(佐久間代表)単価は中国でもさまざまです。最近の単価の特徴は、一つは一人30元以内で食べることができる、主に香港式の茶餐庁の類。この手の店が増えると我々は非常に苦しい。その類の店は、以前は「小吃」と呼ばれるコックがいない簡単な料理でしたが、いまや何でも作り、内装も非常に新しくなっています。もう一つは一人150元から500元の高単価ですね。ふかひれ、あわびを食べさせるような店ですが、こちらも店舗数が多くやはり大変。単価層はこのように二分化してきています。「官」の消費が無駄遣いできた時代は、私どものような6070元という中単価層がかなり厚かった。しかし「官」の消費は、江蘇省で言えば蘇州から崩れてきています。そうなると中国の一般市民は、正規所得以外に副収入を持っているとはいえ、日本人ほどの消費力はないので、高単価の食事はむずかしいわけです。蘇州は他地区より速く国有企業が民営化していますが、その影響がここにも現れています。

昆山地区に活路を求めて
―さらに昆山地区に進出された理由は?
(佐久間代表)昆山には99年に初めて出店しました。蘇州では98年から2000年にかけて大規模店にお客様が集中する時期がありました。当時大規模店は非常に少なかったので、たまたま我々は時と場所に恵まれ拡大し、この時期にブレイクすることができましたが、蘇州市場はまもなく厳しくなることは予想しており、完全に成熟していない都市を探していたところ、隣の昆山が適当かと。

―昆山は上海に近いし、台湾の資本がかなり入っていますね。
(佐久間代表)99年当時の昆山は、今はその面影は一切ありませんが、農村の鎮のような状態でした。当時は政府関係の工業用地等で1畝4万元の時代です。条件のいい新区でも16万元で手に入りました。昆山は国家プロジェクトではない地区でありながら、外資系企業の誘致に最も成功した都市ですが、98年ですでに2万人の台湾人がいました。常駐者2万人にKTV(カラオケBOX)の小姐も2万人。そういう特殊な街です。今では飲食関連の大規模店とか、商業店舗も増えましたが、まだビルは依然供給不足でありその状況も弊社を支えています。

―昆山には三店舗。天竺酒楼以外はホテル経営ですか。(佐久間代表)天竺賓館はレストラン主体のホテルです。そもそも昆山の有力銀行である農業銀行が経営していたホテルを借りています。客室部24室と極めて小規模です。小規模なので単価を高く取ることになり、平均客単価は160元ですが、大変安定しています。またホテル収益に加え、家賃は農業銀行の関係者が年間食事をすることで免除されており、経費面でも助かっています。

―もうひとつの南開大酒店は?
(佐久間代表)こちらは飲食店とKTVの複合型大型店として昨年5月にオープンしました。昆山新区の中心地に政府関係で安い物件を借りることができ、総営業面積は12,000平米あります。私は飲食業の将来性については悲観的で、例えば2000年以前は一年償却は当然の時代でしたが、その後は厳しくなっており、上海では3年以上になってきています。レストラン単体ではさらに厳しい。しかし娯楽と複合させればまた異なる。例えば南開はオープンして134ヶ月ですが、ほぼ一年半償却が可能です。総投資額は3,000万元で、南開グループと我々と政府関係者の三者で合弁形式を採り三分の一づつ出資しています。現在の昆山は蘇州の2000年当時の市場環境に近いのですが、昆山の飲食業界も後2年が限界と見ています。

―だから営業形態の転換を。
(佐久間代表)じりじり迫られています。昆山で南開グループと合弁の店舗は飲食店とKTVを複合させていますが、蘇州で90室ぐらいのKTV単独店舗を建設する計画を進めています。KTVの専門業者にはなりたくないですが、やむをえません。川沿いの環境はいいところで、船を作り乗っていただくなども計画しています。KTVの密室的な暗のイメージをもうすこし明るく環境重視でできないかと。これも政府と共同でないとできませんが、この案件が決まってくれないと苦しいですね。

―中国ビジネスではパートナーがかなめだと言われますが、蘇州人の中国代表とはいい関係を保たれているということですね。
(佐久間代表)中国投資となるとそれがポイント、生命線でしょう。弊社の中国代表は当時私が蘇州に来た時は30歳でしたが、年齢もよかったかな。純粋で吸収力もあるし、頭の回転も速くて、私についてきてくれました。また私どもがラッキーだったのは中国代表と今の昆山の書記が、友人関係だったこともあります。

柔軟な視点からの将来構想が必要
―今後の展開構想は?まずは今の営業形態にエンターテイメントを加えようと…。
(佐久間代表)ただそのエンターテイメントが偏っていまして、高効率なのはKTVと大型浴場ぐらいですね。その他手がけていることは、飲食に付帯する食材から酒に至るまで、今自社ブランド製品を作っています。飲食業経営は食材も多く、家具、制服等必要物品が多い。中国では自ら監修しなければいい加減なものができますが、中国で10年その分学んだともいえます。例えば食材等は、生産地、生産方法、価格、流通など全て把握しており、食品関連で何かあれば、すぐに生産、加工などは立ち上げることはできると思います。すでに紹興酒などは日本の店でも使用していますが、日本での販売も考えています。江蘇地区は娯楽にシフトしていますが、別の拠点をということは常に考えていますので、よく内陸部に視察に行きますし、発展地域の広東にも進出を考えています。蘇州で逆風に耐えていますが、状況は毎年変わります。世界の市場環境もそうですが、毎年、極端に言えば日単位で状況が激変しますので予想できないんですよ。会社だから拡大しようとする、しかし一方では淘汰されて縮小せざるを得ないという状況ですね。今の蘇州の最大の問題というのは今まで当たり前だった単価がくずれつつあるという点です。実は大変なことですが、今後は食材勝負になってくると思います。他にないものをない値段で入れることができればそれで勝ち。中華料理で使わない食材は多いですし、日本で知られてない中華食材も多いですから。

―多方面に、常に関心をひろげておられますね。
(佐久間代表)現代中国は変化が早いですから、常に多方面に視野を広げておかないと。今、手がけている業態が三年後には、全く受け入れられなくなっている可能性すらあるわけです。何もせずにいると危機を迎えることになる。中国に来てよかった点は、個人レベルであっても企業のように世界規模でものを見れるようになったこと、またさまざまなことにチャレンジしていく、意識の拡大がはかれたことですね。

天竺貿易有限公司DATA
創立:1996
資本金:250万元(1元≒14円、3,500万円
業務内容:飲食、ホテル、娯楽施設
売上金額:2004年度実績19000万元
    (
1元≒14266,000万円)
従業員数:1,200(内、日本人2名)
施設規模:蘇州天竺酒楼(レストラン)3,100u
       昆山天竺酒楼(レストラン)3,850u
     天竺賓館(レストラン、ホテル)2,700u
     昆山南開大酒店(レストラン、KTV12,000u

 
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