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日系電子関連メーカーは、コストダウンを目的に中国に進出しているケースが多いが、菊水電子(蘇州)公司は、巨大な中国市場をターゲットに現地に根付いて生きる企業を目指し、その取り組みを始めている。菊水本社伊沢雅夫取締役は、また菊水蘇州の総経理として日中間を往復して指揮を執っているが、創業後1年余りの奮戦状況をお伺いした。
■中国での知名度を生かして、現地で必ず売れるものを製造
―電子関連の進出メーカーの大半は、中国市場向けの販売は検討課題という段階ですが、御社は最初から中国市場をターゲットにされていますね。
(伊沢総経理)当初から当社の方針として、菊水蘇州は日本の菊水本社のコストダウン等のために作った訳ではなくて、日系企業も含め中国で製造活動されている企業が対象です。長期に渡って中国というこの巨大な市場に根付いた会社を作ることが目的なので、中国で受け入れてもらえるような製品、企画活動を行っていこうと考えています。
開業式は、日本の菊水と創立記念日を合わせ、2004年の8月8日に行い、菊水の名に縁のある重陽の節句、つまり菊の節句である9月9日に製品の初出荷を行いました。
日本の菊水の製品は計測器および電源機器を中心として広範囲になりますが、ここで最初に作った製品は日本でも当社のシェア率がかなり高い耐圧試験器です。安全関連試験器の中には耐圧試験器と呼ばれるものがあり、ACコンセントにつながるものなら、テレビ、冷蔵庫、オデイオ関係など全て、国際的に法律で耐電圧試験が義務付けられています。当然中国でも必要ですから、まず必ず売れるものを作ろうということで、日本でシェア率が一番高い製品の中国版を作ったという訳です。
この試験機を中国で生産して中国国内で販売するにはCMC申請という製造許可が必要で、9月9日から販売を始めたのは中国国外。あくる年2005年の3月11日にCMCが認可され、中国国内での販売も可能になりました。今は耐電圧試験器とそのコンパクトモデル、耐電圧・絶縁抵抗試験器の3種類があります。開発のつどCMC申請をし、現在3モデルをこちらの工場で製造しています。最初の機種の販売を始めてからまだ、9ヶ月ほどにしかなりません。まだまだこれからですね。また2005年の2月に日本菊水のもうひとつの大きな柱である電源機器に関する精密電源機器関連の免許を追加して、経営範囲の拡大をしました。
最初の製品というのは日本の技術開発者の力を借りて、当地で市場調査を行いながら製作しましたが、最終的な目標は当地スタッフが独力で開発することです。今年に入ってからは中国の大卒新卒者を採用したり、技術者を中途採用し教育しながら、サービス、生産技術などを含めた展開を徐々に進めようとしています。
―日本菊水の製品は早くから中国で販売されていた訳ですか。
(伊沢総経理)我々の計測器でオシロスコープというのがありまして、一時期菊水の大きな看板製品でしたが、世界中で大変な勢いで売れた時には、その頃中国でもモノを作り始めた会社がたくさんあり、中国でもかなり購入していただきました。そのオシロスコープの名前で、中国の人が計測器の菊水という名前を覚えられたのだと思います。
■顧客ニーズはコストダウン、販売代理店は高額製品販売を希望
―中国で販売されてからまだ数ヶ月ですが、どのような形で進められていますか。また手ごたえはいかがでしょう。
(伊沢総経理)菊水蘇州は本社機能をもっていますが、まだ専門の営業という形では置いていませんので対応はしますが、営業的戦略はもっぱら菊水本社の上海代表処と広州の弁事処で検討してもらっています。日本菊水は中国では代理店販売をしており、二大販売代理店に任せていますが、営業やお客様のサポート等のために上海に日本菊水の代表処があります。あくまで支援ですので、そこでモノの売り買いはできませんが、菊水蘇州の製品も紹介してもらっています。
販売の実際はなかなか難しい面が多々あります。ひとつには価格です。日本菊水の製品は世界標準なので、中国の競合のメーカーが作っているのは弊社のコピー製品が多く、市場価格が日本の定価に比べて四分の一以下。ですから中国の大手家電企業メーカーはもちろん、中国に進出している大手日系企業でも、最初は日本菊水製を購入していても、何年か経つとコスト高のためローカル製品に切り替えていきます。日本菊水製というのはリファレンス、God機として一台持っておく。何かあった時にそれと比べるという使い方をされる訳です。それは日本菊水としても困った問題で、菊水蘇州で対処を求められることになります。菊水蘇州の製品であれば日本製品の約半分の価格なので、4倍だったら困るけど2倍だったら使うかというお客さんもいらっしゃる。それが今売れています。また切り替えたけれど、やっぱりすぐに壊れた等で再度よろしくというご依頼もあります。安かろう悪かろうじゃなくて、安かろう良かろうというところを、さらに安くというのが当地のお客様の要望。これがひとつ大変大きな課題です。
もうひとつは販売を代理店にお願いしていますが、日本菊水製を売ると高い。高いとそれだけマージンもある。しかし菊水蘇州製は安い。するとマージンが下がるので、代理店としてはあんまり扱いたくない。低価格が今度は逆に問題となる。日本は今、成長しきった市場ですので、お客様のためになる提案をしていかなければ生き残れない。中国の場合はこれからなのでしょうが、ある意味合理的な考え方ですが、高いもので売れれば安いものは紹介しないという問題が起りやすい訳です。
また我々の製品を扱っていただいている代理店というのは、非常に広範囲な代理店網を持っており、外資系顧客には強いのですが、中国ローカルの顧客対応は準備中というところです。ですから中国ローカルの代理店育成も課題ですし、菊水の販売商社も作りたいとの話も出ています。中国ローカル企業でやりたいと希望するところは非常にたくさんありますが、代金回収の面など確認をしながら少しずつ進めているのが現状です。
■現地部品調達の難しさを台湾企業との連携で補填
―当地で部品などの調達はどうされていますか。この一帯はIT関係の加工組立関連の工場が集まっているのでサプライチェーンができているは、外資誘致のウリ言葉ですが。
(伊沢総経理)そういうサプライチェーンがあるというのはよく聞きますが、我々の計測器関係の部品というのは一般の民生品より要求が厳しいこともありますが、弊社も我々と同じぐらいの規模の他社も悩みの種は部品の供給、調達ですね。中国において我々のめざすところは現地調達100%ですが、現状は現地調達100%には間違いないですが、日本製の部品が多々あります。つまり当地で日本の商社を介して日本製品を購入しており、人民元で全て取引はしています。板金とか、基板だとか当地でも入手でき、また品質面で問題ないものは中国製を採用しますが、何でもかんでも中国製にすることはできません。
また一部台湾製も使用しています。日本菊水の外注先で技術指導も行っている、20年以上お付き合いしている台湾企業がありますが、台湾ではコストが合わなくなり昆山に進出し、5,6年前から電源などを生産しています。その工場は電源、弊社は耐圧器製造ですが、耐圧器でも使える品質のいい部品を同じベンダーから買い付けました。過去5〜6年の実績から合格と判断できる部品を採用していますので、品質面の問題はクリアしています。
■将来への伏線を敷きながら、まず黒字化を
ー最後に、今後の目標は。
(伊沢総経理)菊水蘇州は、黒字経営までにそもそも2,3年の猶予は受けていますが、日本の本社は上場しており企業会計上の連結決算などの点から、3年目からは必ず黒字にすることを求められています。我々もそれは当然のこととして、2006年の1月1日からは必ず黒字にするつもりで伏線を敷いているところです。課題はあくまでも現地のニーズに合った製品の仕様、そして価格の実現になります。特に価格面では顧客ニーズに沿った努力がさらに必要になります。そのためには本当の意味での現地調達を進めようとしています。菊水蘇州だけではまだ力が及ばないので、日本の評価機関の力も借りて日本ではありえないのですが全数検査を行い、部品のスクリーニングをしています。また併せ提携を希望するローカル企業に対するスクリーニング、育成もさらに進めるつもりです。
また日本菊水本社も国際的にもヨーロッパ市場における受注が増えており、菊水蘇州でも外注として受ける必要が出てきています。部分的に日本菊水の関係する電源などの製造をスタートさせる予定でもあります。日本菊水の業務範囲は本当に広範囲ですが、中国でもそれだけの可能性があると思っています。
■菊水電子(蘇州)有限公司DATA
・創立:2004年8月
・登録資本金:120万USドル
・業務内容:絶縁耐圧試験器ならび精密電源機器に関する
製品の開発、製造、販売、保守。
・施設規模:1,200u
・従業員:26名(内、日本人1名)
・住所:蘇州市高新区濱河路625創業大厦12-2-5F
・TEL 0512-68086850
・FAX 0512-68086852
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