現地スタッフが夢を持てる企業に
             〜エブレン(株)上村社長/蘇州恵普聯電子有限公司馬場総経理に聞く

                                             

 蘇州恵普聯電子有限公司正面入り口













 
 バックブレーン自動組み立て機(自社開発機)


























































































 蘇州地区では今、大小のIT企業が急速に集積しているが、中でも恵普聯電子有限公司は主にカスタム仕様の産業用電子機器、産業用コンピューターを専門とするユニークな存在として知られる。創業以来3年、現地でのその着実な歩みを日本本社のエブレン(株)の上村正人社長と現地法人・蘇州恵普聯電子の馬場俊次総経理に話を伺った

■社会インフラを支える産業用電子機器生産

―御社で生産されている産業用電子機器ならびにコンピューターについてお教え下さい。
上村社長 エレクトロニクスの分野は、民生用電子機器、産業用電子機器、電子部品と3つに大別できます。洗濯機、テレビ等、一般の皆様が家庭でお使いになるものを民生用と呼び、産業用というのはそれ以外を指します。つまり一般の方が直接お使いになるケースはほとんどありませんが、社会を快適に安全に維持するために、あるいは経済活動や企業活動を行うために、その裏側ではいろんな仕組みが必要です。例えば交通、医療、通信、電力、防衛、あるいは工場内のオートメーションシステム等、社会のインフラおよび企業のインフラに関係するコンピューターや電子機器の設計・生産が弊社の仕事です。

―御社の製品には標準仕様とカスタム仕様の別がありますか。
上村社長 そのとおりです。世界的な業界規格に基づく標準仕様とお客様の要求に応じて設計生産する特注仕様、つまり標準製品とカスタム製品の2種類があります。弊社で圧倒的に多いのは後者です。仕向先としては、現在15%ぐらいが中国国内向けで、85%ぐらいが日本向けです。

―中でも御社が得意にされている製品は何ですか。
上村社長 電子機器というのは電子回路部品の集積ですが、通常プリント回路基板の上にICなどを繋ぎ合わせて作ります。産業用電子機器ではこの回路基板を更に何枚も繋ぎ合わせて一つの装置を作ります。その回路基板を有機的に結合して電子機器としての全体機能を作るもの、つまり人間の身体で言えば脊椎に当たり、回路基板に電気を供給すると共に信号を振り分ける部分がバックボード(またはバックプレーン)で、これらを収納する構造体をラックと呼びます。弊社はこういった製品の設計・生産を専門としていますが、蘇州エブレンでは日本と同様の設備を持ち、同じ工法のもとに、品質的にも同レベルの製品を、現地で通用するコストで生産することをモットーとしています。

■多種多量でも量産効果を出す設計・機械や検査装置も開発

―御社のユニークな生産方法として、「マスカスタム生産システム」があるとお聞きしていますが、どのような方法ですか。

上村社長 産業用電子機器の生産は多種少量あるいは多種中量ですが、この多種少量生産において、量産効果を上げるという点がポイントなのです。多種少量ということは、一品一品別なものを作る、つまり手作りに近い形になります。手作りのものは大量生産品と違い生産効率が上がらないから低コストで作るということはできないというのが一般的な常識です。つまり量産効果が上がらないから安くならないし、製品が安定しないとなるわけです。私どもの製品は多種少量、多種中量ですが、これらの製品をどうすれば量産効果を上げることができるかについて長らく研究してきました。その過程で、一つ一つは違っていても、共通の部分もかなりあることがわかってきました。同じ部品が使われているとか、形や大きさは違うが構造は共通であるとか、そういった点をきちんと分類し、それに合った生産方法を考えていくと、多種少量、多種中量であっても、量産効果を出すことができます。そのために必要な設計のしくみと組立機械や検査装置も開発したわけです。その結果、他社であれば、そのような短期間で、あるいはそのような値段ではできないだろうということを可能にする仕組みをビジネスモデルとして確立しました。日本の親会社は現在年商50億円ぐらいの会社ですが、そのような仕組みが私どもの成長の原動力になっています。

■確実な利益産出 顧客の要望で中国進出

―御社では当地で創業より早い時期から利益を出されたと伺っております。
上村社長 弊社は30年余りこのような仕事を一筋に行っている会社ですので、日本を代表するエレクトロニクス関連の企業の大半と長期間に渡って取引をさせていただいているという実績があります。ご承知の通り、今は大手だけでなく中小企業もかなり積極的に中国に進出しておりますが、日本で従来私どもが関わっていた製品が、今度は戦略的に中国で作ろうというケースが非常に多くなってきました。私どもの製品は特殊な機械を使って組立をしたり、特殊な装置を使って検査をしたりするという点がありますので、ぜひ向こうで一緒にやってもらうことはできないか、という声が中国進出が増えるに従って多くなっていました。私どもの中国進出の動機は、日本企業のお客様からのご要望に応えたといういきさつがありますので、創業の早期からすぐにやる仕事に恵まれていたということが前提としてひとつあります。また中国で生産するということは日本で生産することに比べて、お客様にも弊社にもメリットがなければいけませんが、その辺についても着実に取り組みを行っているからだと思います。細かい問題はありますが、まずまず着実に発展してきていると思います。

馬場総経理 社長の経営方針で余分な設備、人員には投資しない、仕事に見合った人員と設備でやっていくとのことで、仕事量に合った人員でやり、それで利益を出しています。臨機応変に、仕事が増えてきたらそれに合せて工場も人員も増強するとして対応してきたということですね。

―御社の今後のビジョンをお聞かせ下さい。
上村社長 現在、現地で中国のお客様から新規に設計、新製品を作りたいという要望があった際、設計開発は日本で行い、製品はこちらで量産する形を採っています。しかし今後は中国から出た設計のプロジェクトは徐々にこちらでもできる体制を作っていく、そういったことが可能な技術者を養成していくということを考えていかなければならないと思っています。
 私は基本的には、中国の企業は日系企業といえども中国の人たちが中心になって経営していく会社にしていくべきだと思っています。当社の経営理念でもありますが、一人一人が仕事を通して自分のスキルを上げ、成長し、より豊かになっていく。一人一人が豊かになることに連動して会社が成長、繁栄していく。一人一人がいい仕事をして社会に貢献する。こういった連帯をぜひとも作りたいというのが私の考え方なんです。私どもは日本でそのような思いで取り組み、ここまで成長してきましたから、一人一人が努力をしてスキルアップし、それによって経済的にも豊かになっていくという図式を、今度は中国で達成してみたいと思っています。中国の方たちは日本に比べて給料は安いですよね。しかし安い給料の人たちを、安いままにうまく使ってやろうなんていう考え方はありません。そうではなく、一緒になってやっていき、いい仕事をして、お互いに豊かになろうなというように考えています。よく言われる定着率の問題も弊社では比較的安定していると思います。


■中国人中心の会社経営に大事なコミュニケーション

―日本側がどう考えているかは中国人スタッフが敏感に感じるところですね。
上村社長 定着率が悪いと、マイナス面だけを強調することが多いですが、私は中国の人たち、特に若い人たちは非常に努力していると見ています。なぜ努力するかというと、今持っているスキルを更に高め、今よりももっといい仕事をできる力を持てば必ずやその分豊かになれると信じているからです。さらに言えば自分の将来とか、この国の将来に彼らは夢を持っていますよ。だから努力するんです。夢を与えなさい。それを実践してあげなさい。そうすれば皆がんばってやるよと、私はいつも言うんです。

―馬場総経理は創業後3年間一度も帰国されることなく、現地業務に打ち込んでおられるとのことですがどのように現地スタッフと接しておられますか。
馬場総経理 中国の経済発展は最近ですので、日本的な管理というのは未修得というか、なかなかなじんでいませんから、品質管理や納期など、その辺りの考え方をきちんと伝え、やれば評価されて業績も伸びていくということをしっかり理解してもらうように努めています。一緒に会社を大きくしていこうなという感覚で訴えています。

―現地スタッフとの一体感が生まれてきているということでしょうか。
上村社長 私が見てもその辺はうまくやっていると思います。馬場君は中国生活が11年と長いので、中国の社会や文化に対する理解も深く、コミュニケーションの問題もない。中国の将来に夢も持っていますしね。どういうことを考えているかわかってもらえているという認識。やはりコミュニケーションが何より大事ですね。

蘇州恵普聯電子有限公司DATA
創立:20029
資本金:8200万円
業務内容:産業用電子機器とコンピューターの生産
売り上げ実績:
2004754万元(1元≒14.5円、1933万円)20051293万元(同上、18748万円)
施設規模:651.34u
従業員:
18名(内、日本人1名)
住所:蘇州市高新区濱河路625創業大12-4
TEL 0512-68087270

FAX 0512-68087271

 
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